福岡県は九州地方の中核都市として知られています。IT、商社、金融など多様な分野で求人が増加しており、飲食・観光業の人気も高い地域です。
サービス業に興味を持つ学生や若手社会人も多く、転職や就職を検討する際には「福岡の平均年収」だけでなく、地域産業の特徴や企業規模ごとの違いも知っておくことが重要です。
本記事では、福岡の平均年収を中心に、産業構造や企業規模別の特徴、職種ごとの傾向、生活コストとのバランスなど、幅広い視点から解説します。
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目次

令和5年賃金構造基本統計調査によると、福岡県の平均年収は470.6万円で、全国平均の506.9万円を下回っています(参照*1)
同じ調査をもとにした民間の分析では、福岡県は都道府県別の平均年収ランキングで全国17位前後に位置するとされており(2019年時点・466.0万円)(参照*2)、直近の470.6万円という数字も「全国の中では中位〜やや下」のレンジにあると考えられます。
賃金構造基本統計調査の福岡県データを見ると、企業規模が大きくなるほど年収が高くなる傾向がはっきりと表れています。具体的な年収額は年度や集計方法によって多少前後しますが、1,000人以上の大企業では全体平均を明確に上回り、99人以下の中小企業では全体平均を下回るという構図は一貫しています(参照*3)。
一方で、福岡県の企業構造を見ると、「大企業に入れば高年収」という単純な話にならない理由も見えてきます。県が公表している「中小企業の動向」によれば、福岡県の中小企業数は約13万1千者で、県内企業数の99.8%を占めています。また、中小企業で働く従業者は約131万8千人で、県内従業者の77.3%にあたるとされています(参照*4)。
つまり、福岡で働く人の大多数は中小企業に勤めており、「高年収な一部の大企業」と「多数派である中小企業」の二層構造の中で、自分がどこにポジションを取るかが年収レンジを決めることになります。

経済産業省九州経済産業局がまとめたレポートによると、九州全体の産業別構成比は、第1次産業2.1%、第2次産業24.2%、第3次産業72.8%ですが、福岡県では第3次産業の構成比が78.8%と全国・九州平均を上回ることが示されています(参照*6)。
県の投資・立地情報サイト「FUKUOKA IS OPEN」でも、福岡県の県内総生産(名目)は20兆円余で九州全体の約4割、全国第9位と紹介されており、第1次〜第3次産業までバランス良く産業が分布しているとされています(参照*7)。
このように、福岡県は
・第3次産業(卸売・小売、医療・福祉、情報通信、サービス)が圧倒的に多い
・一方で、北部九州の自動車・半導体・化学・エネルギーなど製造業の集積地としての顔も持つ
という、「サービス経済+製造業クラスター」のハイブリッド構造を持っています。
近年の特徴として、IT・スタートアップと半導体関連の伸びが挙げられます。
・福岡県は「福岡県未来ITイニシアティブ」を掲げ、ITを活用した製品・サービスの研究開発企業やエンジニア人材を積極的に支援しており、「新しいITを生み出す人とITを活用する人とともに未来の産業を創る」ことを目指しています(参照*8)。
・福岡市は国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」に指定され、官民共働型スタートアップ支援施設 Fukuoka Growth Next を運営。スタートアップカフェやメンタリング、投資家とのマッチングなど、創業から成長までを一気通貫で支援する体制を整えています(参照*9)(参照*10)。
・半導体関連では、「福岡半導体リスキリングセンター」をはじめとする人材育成プロジェクトがスタートしており、九州全体の半導体人材不足を補う拠点として位置づけられています(参照*11)。
こうした取り組みにより、IT・半導体・バイオなどの成長産業にキャリアを乗せられるかどうかが、福岡での年収水準を左右する大きなポイントになりつつあります。
福岡県全体の平均年収は470.6万円ですが、一部の上場企業や大手企業では全国トップクラスの水準を示しています。
転職エージェントのヒューレックスや企業年収ランキングサイトの集計をもとにすると、福岡県内に本社を置く高年収企業として、例えば次のような企業が挙げられます(いずれも有価証券報告書等に基づく平均年収)
・RKB毎日ホールディングス:平均年収 約1,200〜1,300万円台(福岡市早良区・放送・情報通信)(参照*12)
・三井松島ホールディングス:平均年収 約1,070万円前後(福岡市中央区・エネルギー・資源関連の持株会社)(参照*13)
・西日本フィナンシャルホールディングス:平均年収 約960〜1,060万円(西日本シティ銀行を中核とする総合金融グループ)(参照*12)
・安川電機:平均年収 約860万円台(北九州市・産業用ロボット等の製造)(参照*14)
・ふくおかフィナンシャルグループ:平均年収 約800万円台(福岡銀行などを傘下に持つ地方銀行グループ)(参照*14)
・九州電力:平均年収 約770〜800万円台(福岡市中央区・総合エネルギー企業)(参照*12)
さらに、SalesNow DB のデータをもとにした福岡県の平均年収ランキングでは、平均年収1,000万円超の上場企業が福岡市に本社を置く4社存在すると報告されています(RKB毎日HD、トライアルHD、三井松島HD、西日本フィナンシャルHD)(参照*13)。
こうした企業群は、
・放送・メディア
・総合金融グループ
・エネルギーインフラ
・産業用ロボット・重電
といった、高付加価値かつ参入障壁の高い業種に集中しており、「福岡=平均年収は全国より少し低め」という印象とは対照的な、ハイエンドの年収ゾーンを形成しています。
福岡の年収分布を理解するには、「どの産業が強いか」を押さえる必要があります。
1.サービス・第3次産業の厚み
第3次産業が県内総生産の約8割近くを占める福岡県では、卸売・小売業、宿泊・飲食サービス、医療・福祉、情報通信などの分野で雇用が多く創出されています(参照*6)(参照*7)。
一般に、宿泊・飲食サービスや小売は賃金水準が全国的にも低めの業種であり、「雇用の間口は広いが平均年収は抑えられがち」という側面があります。
2.製造業・エネルギー・自動車関連
一方で、北九州地域を中心に、自動車・産業用ロボット・電気機器・鉄鋼などの製造業や、九州電力をはじめとするエネルギー関連企業が集積しています(参照*7)(参照*11)。
これらの業種は、全国的にも比較的高い年収水準と安定した雇用を提供しており、福岡県内でも「年収水準を押し上げる側」の産業です。
3.IT・スタートアップ・金融
先述のとおり、福岡市はスタートアップ支援策やIT人材育成策を通じて、「地方×デジタル」のモデルケースとなることを目指しています(参照*8)(参照*9)(参照*10)。金融では、ふくおかフィナンシャルグループや西日本フィナンシャルHDなど地方銀行グループが全国平均を上回る水準の年収を提示しており、IT・金融・専門サービスの分野では首都圏にも引けを取らない求人も増えています(参照*13)。

福岡で働く際の魅力としてよく挙げられるのが、「収入と生活コストのバランスの良さ」です。
・住宅・土地統計調査の結果をもとに集計された都道府県別平均家賃によると、福岡県の住宅の1か月当たり平均家賃は51,176円で、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県など首都圏よりかなり低い水準に位置します(東京都87,126円、神奈川県70,922円など)(参照*14)。
・一方、全国平均の家賃は59,656円とされており(参照*15)、福岡県は全国平均よりも約8千円ほど安いレンジにあります。
物価面でも、福岡市と北九州市の消費者物価指数(2020年=100)は、それぞれ113前後と大都市としては標準的な水準で、東京23区ほど突出して高いわけではありません(参照*16)(参照*17)。
つまり福岡は、
・「年収の絶対額」は首都圏よりやや低い
・しかし「家賃・物価」は首都圏より明らかに安い
という構造のため、実質的な可処分所得や生活のゆとりは数字以上に確保しやすい地域と言えます。
求人データの集計サイトによると、福岡県内の仕事の平均年収は約390万円、平均時給は約1,092円とされています(正社員・非正規を含む全求人平均)(参照*18)。これは賃金構造基本統計調査に基づく「10人以上事業所の一般労働者」の平均年収470.6万円より低い数字であり、パート・アルバイトや小規模事業所の低賃金求人が多いことがわかります。
一方で、前述のように
・県内企業の99.8%が中小企業で、従業者の77.3%が中小企業勤務
・その中に、医薬・バイオ、エネルギー、金融、IT・スタートアップなどの高年収企業も点在
という構造があるため、「どの産業・どの規模の会社を狙うか」次第で、同じ福岡でも年収レンジが大きく変わるのが実情です。
福岡のもう一つの強みは、「大都市なのにコンパクト」という点です。
・福岡市は政令指定都市の中で人口増加率トップクラスでありつつ、空港が市中心部から地下鉄で10分程度とアクセスが良く、「通勤時間が短い」「出張しやすい」という利便性が評価されています(参照*19)。
・コンパクトな都市構造と豊富な飲食・文化施設、海や山へのアクセスの良さから、「年収の絶対額」よりも「生活の質」を重視して福岡を選ぶ若手・リモートワーカーも増えています。
福岡県の平均年収470.6万円は、全国平均506.9万円と比べるとやや低い水準ですが、その背景には
・第3次産業中心の産業構造と中小企業比率の高さ
・一部の上場企業・インフラ企業・IT企業が全国トップクラスの年収を提示していること
・首都圏よりも安い家賃・物価を前提にした「生活コストとのバランス」
といった要因が複雑に絡み合っています。
福岡で働く魅力を最大化するには、
・どの産業・どの企業規模をターゲットにするか
・IT・半導体・バイオ・金融など成長分野とどう関わるか
・自分のライフスタイルに合った年収と生活コストのバランスをどう設計するか
を意識しながらキャリアを選ぶことが重要です。
本記事のデータと出典リンクが、福岡での転職・就職・U/Iターンを考えるうえでのベースラインとして役立てば幸いです。
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愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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