移住においては、気候や生活コスト、子育て環境、仕事の選択肢、支援制度の有無など、確認すべき項目が多岐にわたります。とりわけ地方都市への移住では、街の規模感や交通事情といった都市部とは異なる条件も見落とせません。
この記事では、福島県いわき市への移住を検討している方に向けて、街の特徴から住まい選び、各種支援制度、防災情報まで、判断材料となるポイントを紹介します。
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いわき市は福島県の東南端に位置し、穏やかな気候に恵まれた街です。阿武隈山系の標高500~700mのなだらかな山地を背景に、夏井川や鮫川などの河川が渓谷美を見せながら流れています。山・川・海がひとつの市域に収まっている点が大きな特徴です(参照*1)。
市域が広いぶん、暮らしのスタイルも多様に選べます。市街地での都市的な生活から、郊外での自然に近い暮らしまで、同じ市内で幅広い選択肢が生まれます。移住先のエリアによって気候の体感や通勤距離も変わるため、候補地ごとの立地条件を地図上で確認しておくことが大切です。
令和8年3月1日時点のいわき市の人口総数は311,917人で、世帯総数は141,112世帯です(参照*2)。
いわき市は地区によって人口規模に大きな開きがあるという特徴があります。そのため、移住先を絞り込む際には、各地区の人口規模と生活圏の広がりを照らし合わせて検討する必要があります。
いわき市には歴史と自然を楽しめるスポットが数多く点在しています。白水阿弥陀堂や勿来の関といった史跡に加え、アクアマリンふくしま、塩屋埼灯台、マリンタワー、石炭化石館ほるるなどの施設が市内に集まっています。さらに豊富な湯量を誇る湯本温泉も、いわき市を代表する資源のひとつです(参照*1)。
観光資源は日常の暮らしにも関わってきます。休日に家族で水族館や温泉に出かけたり、レジャーを楽しんだりと、生活圏内で余暇を過ごせる選択肢が豊富です。移住後の暮らしを具体的にイメージするうえで、こうした施設や自然環境の所在を事前に把握しておくとよいでしょう。

いわき市は「ちょいなか ちょいまち いいかも いわき」をキャッチコピーに掲げ、都会的な生活から田舎暮らしまで多様なライフスタイルが可能であることを打ち出しています(参照*3)。
住む場所によって生活コストや暮らし方を調整しやすい点が魅力です。穏やかな気候のもと、市街地と自然豊かなエリアが同じ市域に共存しているため、家賃水準や通勤距離などもエリアごとに差が出ます。自分がどの程度の利便性を求めるのか、どの程度の自然環境を望むのかを整理したうえで、候補エリアを比較する作業が移住検討の出発点になります。
いわき市には、子育て世帯の移住を後押しする「いわき子育て世帯移住支援金」があります。引越しに要する家財の運送費用や荷造りサービス費用を支援する制度で、県外からの移住で最大10万円、県内からの移住で最大5万円が支給されます(参照*3)。
引越し費用の負担軽減は、移住にかかる初期費用を抑えるうえで直接的な助けとなります。子育て世帯として移住を検討する際には、こうした支援金の申請要件や対象経費の範囲をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
いわき市内の移動手段として路線バスが運行されており、2024年5月から地域連携ICカード「LOCOCA」の運用が始まりました。これにより、路線バス車内で交通系ICカード全国相互利用サービスに対応するICカードが利用できるようになっています(参照*4)。
日常的にバスを利用する場合は、定期券の活用で交通費を抑えることが可能です。学生向けのスチューデントパスは18,000円、高齢者向けのゴールドパスは9,600円で販売されています。移住前に自宅候補地からの通勤・通学ルートを確認し、バスの運行本数や所要時間を把握しておくことで、移住後の生活リズムを具体的に描けます。

住まいのコストを調べる際に活用できるツールとして、国土交通省が運用する「不動産情報ライブラリ」があります。不動産取引の際に参考となる価格、周辺施設、防災、都市計画などの情報を重ね合わせて表示するWebGISシステムで、令和6年4月1日から運用が始まりました(参照*5)。
いわき市内は地区ごとに生活圏の性格が異なるため、同じ市内でも住宅価格や家賃水準に差が出ます。候補エリアの取引価格や周辺環境を不動産情報ライブラリで確認しつつ、防災リスクも同じ画面で重ねて見られる点を活かして、コストと安全性の両面から住まい候補を絞り込んでください。
いわき市では、地区ごとに生活圏の規模や特色が異なります。
令和8年3月1日時点の地区別データを見ると、たとえば平地区は人口89,522人・42,235世帯と市内最大の生活圏を形成しており、商業施設や公共機関が集まる中心部に近いため利便性を重視する方の候補になります。小名浜地区は人口78,810人・34,848世帯で、港町としての特色を持つエリアです(参照*2)。
常磐地区は人口30,775人・13,625世帯で、転入者が転出者を23人上回る転入超過の傾向が見られます。湯本温泉があるエリアとしても知られ、落ち着いた環境を求める方に向いた地区です。エリアごとの人口動態を比較し、将来の地域の活力も視野に入れて検討してみてください(参照*2)。
いわき市は利活用可能な空き家の流通を促すため、平成30年2月に「NPO法人いわき市住まい情報センター」と空き家対策に関する連携協定を締結しました。同センターが運営する「空き家バンクいわき」の開設や、空き家と住まいの相談会の実施など各種取り組みを進めています(参照*6)。
空き家バンクに関連した補助制度も用意されています。空き家の所有者がバンク登録を目的に相続登記などを行う場合、費用の1/2・上限5万円が補助されます。また活用希望者がバンクを通じて購入または賃借した住宅を改修する際にも、費用の1/2が補助される仕組みです。改修支援は令和3年4月1日以降に契約が成立したものが対象で、募集件数は登記支援が6件程度、改修支援が3件程度となっています。空き家バンクの物件情報と補助制度の募集状況を合わせて確認してから動くのが効率的です。

いわき市は、市内への移住・定住の促進と中小企業の人手不足解消を目的として、UIJターン移住支援金を設けています。対象は、東京圏(埼玉県、千葉県、東京都および神奈川県)に直近10年のうち通算5年以上在住し、かつ移住直前の1年間継続して在住していた方で、いわき市に移住し支給要件を満たした方です。交付額は単身世帯が60万円、2人以上の世帯が100万円で、18歳未満の子どもを帯同して移住した場合は、子ども1人あたり100万円が加算されます(参照*3)。

就業要件のひとつとして、テレワークによる移住も対象に含まれています。この場合、所属先企業の命令ではなく自身の意思で移住し、移住先を生活の本拠とすること、移住元での業務を引き続き行うことが条件です。加えて原則として恒常的に通勤せず、週20時間以上テレワークを実施する必要があります(参照*7)。テレワーク中心の働き方で移住を考えている方は、勤務先の就業規則とこの要件を照合してから申請準備に入ってください。
子育て世帯向けには前述の引越し費用を支援する制度のほか、交通面をサポートする「いわき移住者交通サポート支援金」も用意されています。市内の自動車教習所でペーパードライバー講習を受講した場合、受講料が最大2.5万円まで支給されます。さらに公共交通機関の利用を支えるため、地域連携ICカードLOCOCA2万円分が交付されます(参照*3)。
車の運転に不安がある方にとって、ペーパードライバー講習の費用補助は移住後の生活を軌道に乗せるうえで実用的な支援です。加えてICカードの交付によりバス利用のハードルも下がります。車を持つかどうか、公共交通をどの程度使うかを想定しながら、これらの支援金を組み合わせて活用する計画を立ててみてください。
移住を決める前の段階で活用できる制度もあります。「いわき移住活動支援補助金」は、仕事探し・住まい探し・移住相談・生活環境調査などを目的にいわき市へ滞在する際の宿泊費の一部を補助するものです。補助額は宿泊費の8割で、1泊あたり8,000円が上限、1人あたり3泊まで利用できます(参照*3)。


東京圏の大学を卒業する学生に向けた「いわき市地方就職学生支援事業支援金」も設けられています。就職活動等にかかる交通費は上限8,000円で、移住にかかる移転費は、移住に要する最低限の実費を証明できる場合に実費が支給されます。移転費は移住に要する最低限の実費を証明できない場合、66,000円を上限として実費の範囲内で交付されます。学生として就職活動中の方は、対象要件に該当するか早めに確認しておくとよいでしょう。

いわき市では、河川洪水ハザードマップで浸水区域や避難場所を確認できます。河川がはん濫した場合に想定される浸水区域や避難場所を地図面で確認でき、あわせて防災情報を示した学習面も用意されています(参照*8)。
「いわき市防災マップ」では、河川洪水・津波浸水・土砂災害の災害情報と、避難所・避難場所の情報を地区ごとにまとめて表示しています。自宅や職場にどのような災害リスクがあるか一目でわかるよう、複数の災害情報を重ねて見られる構成です(参照*9)。住まい候補のエリアが決まったら、防災マップで浸水想定区域や土砂災害警戒区域に該当していないかを必ず確認してください。
いわき市の路線バスは後ろ乗り・前降り・運賃後払い方式で運行されています。ICカードLOCOCAや全国相互利用の交通系ICカードが使えるため、支払い自体は便利になっていますが、広大な市域をバスだけでカバーするには限界があります(参照*4)。
運転免許の有無や車の維持費も移住計画に織り込んでおく必要があるため、バスの運行頻度や最終便の時刻を調べ、移動のイメージを現地で確かめてから住まいを決めるのがよいでしょう。
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いわき市への移住を検討する際は、広大な市域のどのエリアを選ぶかによって暮らしの姿が大きく変わります。気候や自然環境の魅力に加え、UIJターン移住支援金や子育て世帯向け支援金、空き家バンクの改修補助など、使える制度を把握しておくことが判断の土台になります。
防災マップによるリスク確認や車社会への備えといった現実的な課題も見逃せません。IWAKIふるさと誘致センターへの相談や移住活動支援補助金を活用した現地滞在を通じて、自分の目で街の雰囲気を確かめるところから始めてみてください。
いわき市への移住を検討するなら、生活環境や雇用事情、適正年収の実態を把握し地域企業の選択肢も確認しましょう。
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