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更新日:2025/12/26

北海道の年収はどのくらい?平均給料と生活費・子育て環境、高年収企業を紹介

北海道は広大な土地と豊かな自然を有する地域として知られています。独特の気候や観光資源が魅力ですが、暮らしや働き方も本州とは異なる特徴があります。本記事では、北海道における年収の実態や生活費、年収を高める工夫について解説します。

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北海道の平均年収と全国平均との比較

北海道の平均年収は、令和5年賃金構造基本統計調査によると450.9万円です(従業員数10人以上の企業が対象、労働者数10,884,900人)(参照*1)。
全国平均は506.9万円であり、北海道は約56万円低い水準です。企業規模別では、1000人以上の会社で508.8万円、100〜999人で449.2万円、99人以下で417.0万円と、規模によっても差があります。

北海道の雇用環境と年収の関係

賃金水準を考える際には、雇用環境も重要です。北海道労働局が取りまとめた「本道の雇用情勢」によると、2024年度の北海道の有効求人倍率(新規学卒を除きパートを含む常用計)は0.94倍で、全国平均1.14倍を0.20ポイント下回っています。しかも、北海道の有効求人倍率は3年ぶりに1倍を割り込んだとされています(参照*2)。

有効求人倍率が1倍を下回るということは、「求職者1人に対して求人が1件に満たない」状態であり、需要よりも労働供給が多い=買い手市場になりやすいことを意味します。このような環境では、企業側に賃金を引き上げる強い圧力がかかりにくく、平均年収が全国に比べて伸びにくい背景の一つになっていると考えられます。

北海道の生活費

北海道での生活費は、全国的な物価と比べて一部で割安とされることもありますが、実際には地域や家族構成、住居形態によって大きく異なります。
総務省「家計調査」の北海道分を取りまとめた北海道庁の統計によると、二人以上の世帯の消費支出は1か月平均30万5,862円(2024年・勤労者世帯)とされており、全国平均の消費支出29万3,997円(2023年)と比べてもとても「安い」とは言えない水準です(参照*3)。

また、家計調査の消費者物価地域差指数では、北海道地方の物価水準は「総合」で101.1と全国平均(100)をやや上回る一方、「住居」は85.7と低く、「光熱・水道」は114.7と高いという特徴が示されています(参照*4)。つまり、食料や日用品全体としては全国並み〜やや高めである一方、持ち家・賃貸を含む住居費は相対的に安く、光熱費は高いという構造です。

特に住宅費の割合が家計に与える影響は大きく、札幌市など都市部でも立地や最寄り駅からの距離によって家賃が大きく変わります。
例えば、さっぽろ駅周辺では1K・1DKの家賃相場が3〜4万円台、1LDKで6万円台、2LDKで8万円台が中心とされる一方(参照*5)、札幌市南区や西区など地下鉄駅から遠い郊外エリアでは、2DK・2LDKでも3〜5万円台の物件が掲載されています(参照*6)。

北海道特有の気候条件により、冬季の暖房費が家計を圧迫しやすい点も見逃せません。十勝地方の自治体である北海道池田町が総務省「家計調査」をもとに整理した資料では、2021年時点で北海道の二人以上世帯の平均光熱費は月2万7,428円、全国平均は2万1,530円とされており、その差は約5,900円に達しています(参照*7)
また、北海道ガスの情報サイトが家計調査データを引用してまとめたところによれば、2024年の北海道の1か月あたりの電気代平均は1万2,328円で、特に冬(1〜2月)には1か月1万5,000円を超え、全国平均より1,500〜3,500円ほど高い水準になるとされています(参照*8)。

さらに、住宅会社のコラムでは、総務省の家計調査等を基に「北海道の家庭の暖房費は全国平均の約2倍」と指摘されており(参照*9)、灯油・電気・ガスを組み合わせた暖房関連支出だけで月1万円以上になる世帯が多いことがうかがえます。

また、広域な地域にインフラが分散しているため、通勤や通学の交通費が増える場合もあります。北海道庁の家計調査結果では、勤労者世帯(二人以上)の消費支出10大費目のうち「交通・通信」が前年より12.8%増加しており(参照*1o)、自家用車利用や長距離通勤に伴うガソリン代・自動車関連費などが、都市部に比べて家計に占める比重を押し上げていることが示唆されます。道内の暮らしでは、「住宅費は抑えやすいが、光熱費と交通費がかさみやすい」という構図を前提に生活設計を考える必要があります。

子育て世帯の家計

一般に、子育て世帯は独身世帯や夫婦のみ世帯と比べて、食費・教育費・交通費などの支出が増えるため、同じ収入でも家計の余裕が小さくなりがちです。
内閣府経済社会総合研究所のワーキングペーパーでは、同じく全国家計構造調査のデータを用いて、子どもが一人増えると、子どものいない夫婦世帯と比べて食費に関する支出が約1.1倍必要になると推計しています(参照*11)。これは、子育て世帯では「教育費」という新たな支出が加わるだけでなく、日々の食費や交通費など生活の基本的な費目も増え、家計の固定的な負担が積み上がっていくことを意味します。

こうした一般的な傾向に、北海道特有のコスト構造が上乗せされる点が、北海道で子育てをする世帯の特徴です。先述のとおり、北海道は住居費が全国平均より低い一方で、「光熱・水道」の指数は全国平均を大きく上回っており、子どもがいる世帯では在宅時間が長くなりやすく、暖房を切りにくい時間帯も増えるため、暖房費の負担は独身世帯や夫婦のみ世帯以上に重くなります。
また、保育園・学校・習い事などへの送迎を自家用車に頼るケースも多く、ガソリン代や自動車維持費といった交通費が家計を圧迫しやすい構造があります。

北海道における子育て世帯への支援制度

北海道で子育てをする場合、「年収」や「生活コスト」に加えて、どのような公的支援があるのかを押さえておくことが重要です。

北海道庁保健福祉部子ども政策局が実施する「乳幼児等医療給付事業」では、就学前の乳幼児(通院・入院)と小学生(入院)の医療費について、市町村が医療費の自己負担分を助成し、その実施に要する費用の2分の1を北海道が補助する仕組みとされています(参照*12)。
この制度により、多くの自治体で乳幼児の通院・入院医療費の自己負担が大幅に軽減されており、市町村によっては自己負担1割・月額上限あり、あるいは実質無料まで拡大しているケースもあります(参照*13)。

実際に、北海道庁が公表している「道内市町村における子ども・子育て等への支援状況」の一覧を見ると、ある町では「18歳以下児童の医療費無償」「出産祝金1人あたり40万円支給」「小中学校の給食費無償」「学童保育料の無償化」など、非常に手厚い支援を行っている例が挙げられています(参照*14)。同じ北海道の中でも、市町村によって支援の中身と手厚さが大きく異なるので、移住を考える際の考慮事項となります。

都市部の代表例として札幌市を見ると、国の無償化とは別に、2024年度から「第2子以降の保育料完全無償化」を独自に実施しています。札幌市の子育て情報サイトによれば、「保護者の収入や上の子の年齢等に関係なく、第2子以降であれば全ての児童の保育料が無料」とされており、認可保育所や認定こども園などに通う第2子以降の保育料負担がゼロになることが明記されています(参照*15)。これは、道内でも特に子どもの数が多い都市部で、子育て世帯の家計負担を軽くする大きな要素となります。

さらに、日常生活に直結する支援として、「子育て支援パスポート」も利用できます。こども家庭庁の一覧によると、北海道では「どさんこ・子育て特典制度」が全国共通展開のパスポート事業として登録されており、小学生以下の子どもや妊婦のいる家庭が対象です(参照*16)。道内外の協賛店舗・施設で、このパスポートを提示することで、商品の割引やポイント付与、授乳・おむつ替えスペースの提供など、さまざまな優待サービスを受けることができます。

このように、北海道で子育てをする世帯は、
・道の乳幼児医療費助成や市町村独自の医療・出産・教育支援
・どさんこ・子育て特典制度など日常生活を下支えする優待制度
といった複数の支援を組み合わせて利用できます。

北海道の産業構造と主要企業の年収

北海道の年収水準を理解するうえでは、「どの産業がどれくらいの比重を占めているか」を押さえておくことが欠かせません。
北海道庁が公表する「北海道データブック2025」によると、道内総生産(20兆8,893億円)の産業別構成比は、第1次産業が4.2%(全国0.9%)、第2次産業が16.4%(全国25.4%)、第3次産業が77.7%(全国72.7%)となっており、全国に比べ第1次産業と第3次産業の割合が高く、第2次産業の割合は低いものとなってます。

また、第2次産業のうち製造業についてみると、8.7%(全国19.8%)で、全国の2分の1以下となっています。さらに、製造業を業種別に全国と比べると、食料品のウェイトが高く、電気機械やはん用・生産用・業務用機械、化学などのウェイトが低くなっています。(参照*17)。

就業者の側から見ても同様の傾向があります。令和2年国勢調査の結果を基に整理された統計では、北海道の就業者のうち一次産業が6.8%(全国3.5%)、二次産業が16.5%(全国23.7%)、三次産業が74.1%(全国72.8%)を占めており、働く人のおよそ4人に3人がサービス業など第3次産業に従事していることが示されています(参照*18)。
農業・林業・漁業といった一次産業の比率が全国より高い一方で、自動車や電機など高付加価値の製造業は少なく、卸売・小売、宿泊・飲食サービス、医療・福祉、金融、運輸といったサービス産業が地域経済と雇用を支えているのが北海道の特徴です。

このような産業構造は、平均年収にも影響を与えています。前述のとおり、賃金構造基本統計調査による北海道の平均年収は450.9万円で、全国平均506.9万円より約56万円低い水準です。製造業や情報通信業など高付加価値産業の比率が高い地域ほど平均賃金が上がりやすい一方、宿泊・飲食サービス業や小売業、介護・福祉など賃金水準が相対的に低いサービス業の比率が高い地域では、全体の平均年収が抑えられる傾向があります。
北海道の場合、一次産業と第三次産業の比重が大きく、第二次産業が全国平均より10ポイント近く低いことが、平均年収の差の一因になっていると考えられます。

高年収企業の例

もっとも、道内のすべての企業の年収水準が低いわけではありません。北海道に本社機能を置き、地域インフラや金融、流通を担う中核企業の中には、全国平均を上回る年収水準を示している企業も少なくありません。
例えば、電力・ガスといったエネルギーインフラを担う北海道電力株式会社の平均年収は、最新の有価証券報告書に基づきIRBANKが整理したデータによると794万円(平均年齢41.5歳、平均勤続年数19.2年)となっており(参照*19)、北海道平均450.9万円や全国平均506.9万円と比べて大きく上回っています。

同じく札幌市に本社を置く北海道瓦斯株式会社(北海道ガス)も、IRBANKが有価証券報告書「従業員の状況」から集計した数値では平均年収722万円、平均年齢40.6歳、平均勤続年数18.6年とされており(参照*20)、エネルギー関連のインフラ企業が道内では相対的に高い年収水準を維持していることが分かります。

金融分野では、地方銀行の北洋銀行の平均年収が693万円(平均年齢43.2歳、平均勤続年数19.3年)(参照*21)、流通分野では、北海道を地盤とする大手スーパーマーケットグループのアークスが平均年収606万円(平均年齢47.3歳、平均勤続年数15.9年)と報告されています(参照*22)。いずれも北海道に本社を置く上場企業であり、インフラ・金融・流通といった地域の基幹産業を支える企業では、600万〜800万円台の水準が一つの目安になっていることが読み取れます。

一方で、道内平均年収が450.9万円にとどまっているという事実は、こうした中核企業以外に、パート・アルバイトや中小企業、宿泊・飲食、介護・福祉など、比較的賃金水準の低い職種・雇用形態が多数存在していることの裏返しでもあります。統計的に見れば、「北海道全体の平均年収」と「道内の主要企業の年収」の間には、少なくとも150万〜300万円程度のギャップがあるケースが多く、どの産業・どの規模の企業を選ぶかによって、年収水準が大きく変わり得ると言えます。

このように、北海道の年収水準は、

・一次産業とサービス業中心の産業構造(第1次4.2%・第2次16.4%・第3次77.7%)
・高付加価値製造業の比率の低さ(製造業8.7%)
・一部のインフラ・金融・流通企業に集中する高年収ポスト

といった要因が重なって形づくられています。道内で年収を高めたい場合には、単に「北海道の平均年収は低い」と捉えるだけでなく、「どの産業で」「どの規模の企業で」働くかを意識的に選ぶことが重要になります。次の章では、こうした産業構造と企業ごとの年収水準を踏まえたうえで、北海道で年収を高めていくための具体的な戦略について考察します。

年収を高めるためのポイント

ここまで見てきたように、
・平均年収は全国より約11%低い(450.9万円 vs 506.9万円)
・有効求人倍率も全国より低い(0.94倍 vs 1.14倍)(参照*5)
という状況の中で、北海道で年収を高めていくためには、戦略的に働き方を選ぶことが重要になります。

第一に、道内で企業規模を「選ぶ」ことです。先ほど触れたように、北海道内でも1000人以上企業の平均年収は508.8万円、99人以下企業では417.0万円と、およそ22%の差があります。
転職やキャリアアップを通じて大企業や給与水準の高い企業に移ることは、同じ北海道に住み続けながら年収を引き上げる現実的な手段の一つです。

第二に、道外企業へのリモートワークを組み合わせることです。「地域間の所得差」を逆手に取り、東京圏など賃金水準の高い地域の企業にフルリモートで勤務することで、居住地は北海道のまま全国水準に近い年収を得るという選択肢もあります。

第三に、家計管理によって「実質年収」を底上げすることです。北海道の消費支出指数は94.7で、所得指数92.6よりもやや高く、所得に対して支出がやや重い構造になっています(参照*2)。家賃・通信費・自動車関連費など固定費を見直し、消費支出を全国水準よりさらに抑えることができれば、統計上の年収が全国平均より低くても、手元に残るお金=「実質的に使える年収」を高めることが可能です。

このように、統計データを踏まえて現状を把握したうえで、
・「どの規模・どの地域の企業で働くか」
・「どの程度の消費水準で暮らすか」
を意識的に選ぶことが、北海道で年収と生活のバランスを最適化するための第一歩になります。

おわりに

本記事では、北海道の年収水準と全国平均との差、生活費や年収を高める方法について解説しました。北海道は自然や食、観光資源に恵まれた土地である一方、公共交通や雇用機会の選択肢が限られるエリアもあり、収入と支出のバランスを取る工夫が必要です。

北海道の平均年収は全国平均より低い水準ですが、生活コストのコントロールや副業・資格取得・独立など多様な働き方を組み合わせることで、十分に豊かな暮らしを実現できます。自分に合ったキャリアや生活設計を考える際、本記事の情報を参考に、北海道での新たな一歩を踏み出してみてください。

お知らせ

北海道 年収の実態を把握するには、統計だけでなく地域密着の非公開求人や金融機関連携の情報も確認し、適正年収の検討材料にすることをおすすめします。具体的な年収レンジや企業情報を照らし合わせるとより現実的です。
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参照

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この記事の監修

神谷 貴宏

愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。

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