千葉県は東京都に隣接しながらも、独自の産業構造や地域特性を持つエリアです。京葉臨海地域や幕張新都心、成田国際空港といった多様な地域が広がっているため、働く場としての魅力も多彩です。
一方で、年収水準という観点では多面的な検討が必要です。本記事では、千葉県の平均年収に焦点を当て、具体的な数値を踏まえながら、給与格差や業種別の動向などを総合的に解説します。
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目次

令和5年賃金構造基本統計調査によると、千葉県の平均年収(一般労働者・企業規模10人以上)は487.0万円です。企業規模ごとの内訳は、従業員1,000人以上の企業で540.7万円、100〜999人で471.6万円、99人以下で446.3万円とされており、企業規模が大きくなるほど年収水準が高い典型的な構図が現れています(参照*1)。
同資料での全国の全職業平均年収は約506.9万円であり、千葉県の487.0万円は全国平均をやや下回る水準です。
同じく賃金構造基本統計調査の結果を整理した資料では、令和5年時点の全産業平均年収(全体)は506.9万円と示されています(参照*1)。この全国平均506.9万円と比べると、千葉県の平均年収487.0万円はおよそ20万円弱低い水準(約96%程度)という位置づけになります。

千葉県の賃金水準を理解するには、「どの産業がどれだけの比重を占めているか」が重要です。千葉県が公表した「令和2年千葉県産業連関表について」によると、県内生産額の産業別構成比は次のようになっています(参照*2)。
・製造業:31.4%(13兆6,612億円)
・サービス:21.9%(9兆5,019億円)
・不動産:9.1%(3兆9,541億円)
とくに製造業では、食料品・化学・一次金属などが大きなウェイトを占めており、京葉臨海工業地帯の石油化学・鉄鋼・電力関連の集積が千葉県経済を支えています。
一方で、千葉県内の企業の99.8%が中小企業であり、常用雇用者の約72.6%が中小企業に勤めていることが、「第5次ちば中小企業元気戦略(概要)」で明記されています(参照*3)。官公需施策の説明ページでも、令和3年6月現在、県内企業約11万4千社のうち中小企業が99.8%を占めるとされており(参照*4)、中小企業依存度の高さが特徴です。
つまり千葉県は、
・製造業・物流・インフラ・金融など高付加価値産業
・小売・飲食・宿泊・生活関連サービスなど中小・サービス業
が混在する構造であり、産業間・企業規模間の年収差が大きい地域でもあります。
賃金構造基本統計調査の企業規模別データ(千葉県)からも、
・大企業(1,000人以上):約540万円台
・中堅・中小(100〜999人):約470万円台
・小規模(99人以下):約440万円台
という明確な段差が確認できます(参照*1)。同じ千葉県内でも、「どの規模の会社で働くか」によって年収レンジが大きく変わると言えます。
千葉県全体の平均年収は487.0万円前後ですが、県内にはこの水準を大きく上回る企業も多く存在します。代表的な上場企業の例をいくつか挙げます。
・東洋エンジニアリング株式会社(習志野市)
プラントエンジニアリング大手で、本社・総合エンジニアリングセンターを習志野市に置く企業です。IRBANK によると、最新の有価証券報告書ベースで平均年収は957万円、平均年齢42.5歳、平均勤続年数15.4年とされています(参照*5)。
・新日本建設株式会社(千葉市美浜区)
分譲マンションなどを手がける総合建設会社で、千葉市美浜区に本社があります。IRBANK掲載の「社員の状況」によれば、平均年収836万円、平均年齢37.8歳、平均勤続年数11.9年と記載されています(参照*6)。
・キッコーマン株式会社(野田市)
醤油を中心とした総合調味料メーカーで、野田本社を千葉県野田市に構えています。IRBANKには、平均年収823万円、平均年齢43.5歳、平均勤続年数14.2年と記載されています(参照*7)。
・京成電鉄株式会社(市川市)
東京〜千葉北西部を結ぶ大手私鉄で、本社は市川市に所在します。IRBANKのデータでは、平均年収751万円、平均年齢41.6歳、平均勤続年数17.4年と示されています(参照*8)。
・株式会社千葉銀行(千葉市中央区)
県を代表する地方銀行で、本店は千葉市中央区千葉港。IRBANKおよび企業情報サイトの集計では、2025年3月期の平均年収がおおむね790〜795万円、平均年齢38.5歳とされています(参照*9)。
これらの企業の平均年収はいずれも600万〜900万円台であり、県全体の平均487.0万円と比べて100万〜400万円以上高い水準です。
言い換えると、千葉県の「平均年収が全国平均よりやや低い」という事実は、高年収の中核企業と、中小・サービス業との“幅広い分布”で平均が押し下げられている結果と見ることができます。
千葉県の企業の大半を占める中小企業の状況は、県の中期戦略の中核テーマになっています。
「第5次ちば中小企業元気戦略(概要)」では、
・県内企業数の 99.8%が中小企業
・常用雇用者の 72.6%が中小企業に就業
・小売・建設・宿泊・飲食サービス・生活関連サービス・娯楽など、生活に密着した業種の割合が高い
と整理されており、中小企業が地域経済と雇用の主要な担い手であることが示されています(参照*3)。
賃金水準の面では、大企業に比べて平均年収が低くなりやすい一方、県としてはこの層の底上げが全体の年収改善には不可欠と位置付けています。第5次戦略では、
・DX(デジタル化)やカーボンニュートラル対応への支援
・事業再構築・新分野展開・産学官連携の後押し
・人材確保・育成と地域における「働きたい場所」の創出
などを通じて、中小企業の付加価値向上と賃金引き上げを中長期的な目標として掲げています(参照*3)(参照*10)。

意外かもしれませんが、転職サイトの「平均年収ランキング(都道府県別)」を見ると、直近の調査で東京都の平均年収は471万円、神奈川県452万円、千葉県435万円、埼玉県426万円となっており、千葉県は全国3位/関東内3位という位置づけです(参照*11)。
一方、賃金構造基本統計調査に基づく全国平均年収506.9万円と比較すると、千葉県の487.0万円はやや低い水準であり(参照*1)、
・首都圏の中では上位寄り
・全国平均と比べるとわずかに低い
という「中庸なポジション」にあるといえます。
その背景としては
1.東京への通勤圏としてのベッドタウン機能
千葉県北西部は、東京都への通勤圏としてのベッドタウン機能が非常に強い地域であり、例えば千葉県が令和2年国勢調査をもとに公表している「東京都への通勤通学者比率」によると、浦安市の東京都への通勤・通学者比率は約5割、市川市でも4〜5割とされている(参照*12)。これらの市では「住まいは千葉・収入は東京企業」というパターンが多数存在していると考えられる。
2.臨海部・空港周辺の高付加価値産業の集積
千葉県の臨海部には、京葉臨海コンビナートを中心に、石油精製・石油化学・鉄鋼・LNG火力発電などの素材・エネルギー産業が日本最大級の規模で集積しており(参照*13)、県内製造品出荷額のかなりの部分を占める高付加価値産業エリアとなっている。
一方、成田国際空港の周辺も、「国際物流・産業拠点」として位置付けられ、物流施設や関連企業の集積が進んでいる。(参照*14)。空港運営会社など中核インフラ企業は平均年収800万円台と高水準である一方(参照*15)、周辺には倉庫業・運送業・宿泊業・飲食サービス業など、全国的に賃金水準が低めの職種も多く、同じ臨海・空港エリアの中でも、企業・職種による年収格差が生まれやすい構造になっている
3.中小企業・サービス業比率の高さ
中小企業が企業数の99.8%を占め、生活関連サービス・飲食・小売などが多いことから、平均賃金はどうしても抑えられやすい状況(参照*4)。
など、複数の要素が絡み合っています。
千葉県内の市町村別に見ると、所得・年収には相当大きな差があります。
総務省「市町村税課税状況等の調」をもとにしたヒューレックスの分析によれば、2019年度の千葉県市町村別平均所得ランキングで、浦安市の平均所得は453.4万円で県内1位とされています(参照*16)。また、別の調査では、浦安市の平均世帯年収は627万円で、千葉県59市町村中1位、全国平均503万円を124万円上回るとされています(参照*17)。
一方で、外房・南房総など観光・農業・漁業が中心のエリアでは、同じ調査で平均所得が300万円以下の市町村もあり、都市近郊と地方圏の格差が明確に現れています(参照*18)。
このように千葉県の「平均年収487.0万円」の背後には、
・東京圏と一体化した高所得エリア(浦安・市川・船橋・柏など)
・産業集積はあるが賃金が二極化しやすい臨海・空港エリア
・観光・農業・漁業が中心のローカルエリア
といった複数の経済圏が重なっている構造があります。
千葉県での就職や転職を検討する際は、自分の希望する業種や働き方を明確にし、企業ごとの情報を詳細に確認することがポイントです。
大企業・中小企業のいずれでも、職種の専門性や成長戦略によって年収水準が大きく変わる場合があります。県としての経済規模も着実に伸びているため、今後さらなる年収アップが見込まれる分野もあります。こうした点を踏まえ、より広い視野をもってキャリアを築くことが重要です。
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愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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