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営業職からの転職を考えるタイミング
日本労働調査組合が2021年12月に公表したアンケート調査によると、最近退職を検討したという営業職は69.6%。営業職の2人に1人以上の人が、退職あるいは他の職種への転職を検討している計算です。
具体的にどのような理由やタイミングで営業職からの転職を検討するものでしょうか。日本労働組合の調査結果を踏まえて、詳しく見ていきます。
営業成績が伸び悩んでいるとき
営業職として働き続けるときの懸念や不安点 | |
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1位 | 給与が安い |
2位 | 将来が不安 |
3位 | モチベーション維持 |
4位 | 上司や会社のプレッシャー |
5位 | 休みが休みにならない |
6位 | 成果が上がらない |
7位 | 長時間労働 |
8位 | 営業が苦手 |
9位 | 上司が嫌い、苦手 |
10位 | コミュニケーションが苦手 |
参照:日本労働調査組合
日本労働調査組合の同調査では、営業職を続けていく上での不安点として「成果が上がらない」が6位にランクインしています。
営業職の待遇や労働環境に日頃不満を抱いていても、仕事の成果が一定程度上がっている間は転職を考える機会は少ないものです。しかし、「営業成績が思うように伸びないと、他に向いている職種があるのでは」と転職を検討し始めることがあります。
ワークライフバランスを考え直すとき
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートのバランスが保たれることで得られる好循環のことです。一般的には時間外労働や休日出勤が少なく、趣味や家族との時間を十分に確保できている状態を指します。
営業職を続けていくうえでの不安点の第5位に「休みが休みにならない」、第7位には「長時間労働」がランクインしています。
この結果からは、営業職からの転職を検討している人の中には、休日や長時間の労働に不満を持っていて、ワークライフバランスを改善したいと考える人が多いことが伺えます。
年収アップを目指すとき
営業職を続けていくうえでの不安点の第1位は「給与が安い」こと。仕事でどれだけ達成感ややりがいを感じられても、仕事の内容や業務量に見合った給与が得られなければモチベーションは低下します。
また、給与が思うように上がらなければ、先行きも不安になります。このような場合には、同じ営業職でもより給与が高い業界や営業職よりも待遇が良い職種への転職を検討したほうが良いかもしれません。
営業が転職先で活かせるスキル
営業職を経験することで、コミュニケーションスキルやプレゼン能力をはじめとした多様なスキルが身に付きます。こうしたスキルは、転職先の採用面接でのアピールに活用することで選考を有利に進められるはずです。
ここでは、営業先が転職先で活かせるスキルについて詳しく紹介します。
コミュニケーション能力
営業職は取引先との商談の中で、相手の話を理解する「傾聴力」や、誠実でわかりやすい説明をする「説明力」といったさまざまなコミュニケーションスキルを活用します。こうしたコミュニケーションスキルは、商談だけではなく社内での打合せや顧客対応といった場面でも必要な能力です。
なぜなら、コミュニケーションを円滑に進めることで、社内関係者や顧客との信頼関係が構築されて、仕事の生産性が向上する可能性が高いためです。そのため、コミュニケーションスキルは営業職に限らず、ほぼすべての職種で活かせると言えます。
プレゼン能力
営業職は取引先に向けて自社製品のプレゼンテーションを行う機会が多々あります。プレゼンにおいては、構成を考える力や資料作成スキル、伝わりやすい話し方といったさまざまな能力が求められます。
このようなプレゼン能力は、社内で新規事業をプレゼンする企画職や、従業員向けに人事制度の説明を行う人事職にも必須です。また、プレゼン能力に含まれる資料作成スキルについては、営業アシスタントや総務といった事務職でも活用できます。
課題解決能力
商談を成功させて自社製品を売るためには、取引先の課題や悩みに沿った提案が欠かせません。そのため、課題の本質を見抜いて適切な解決策を考える課題解決能力が営業職には求められます。
こうした課題解決能力は、営業職に限らず多くの職種において、業務上の課題を乗り越えるために必要なスキルです。営業職で培った課題解決能力は、他業種への転職活動時に有利に働くといえます。
企画・計画力
ここで言う計画力とは問題点を明確にしたうえで、それを解決するための道筋や手だてを計画する能力を意味します。営業職は商談の成功率や受注率を高めるために「計画・実行・評価・改善」といったPDCAサイクルを回し、計画力を育成しています。
営業職をはじめ、ビジネスにおいて仕事の成果を高めるためには、計画力を身に付けてPDCAサイクルを回していくことが求められます。多くの他職種への転職活動において、営業職で身に付いた計画力が武器になるはずです。
営業から転職する際におすすめの業種職種
ここまで紹介した通り、営業職はコミュニケーションスキルや企画力といった多様なスキルを有しています。これらのスキルはさまざまな職種で活用できますが、ここでは特に営業からの転職におすすめの業種職種について見ていきます。
企画職・マーケティング職
企画職は、新規事業や新製品を考案する仕事で、、マーケティング職は、データの分析や市場調査を行う仕事です。企業によって業務内容は異なりますが、企画職とマーケティング職はほぼ同じという認識で問題ありません。
これらの職種では、顧客目線で新製品を考案したり、市場調査で課題やニーズの本質を分析したりします。そのため、営業職で培った課題解決能力や顧客の立場に立って物事を考えられる能力が大いに活かせるはずです。
販売職
販売職とは、ディーラーや家電量販店、携帯ショップなどの店舗において顧客に製品を販売する職種です。製品の売上を伸ばすためには、より多くの人に製品を購入してもらう工夫が欠かせません。
営業職においては、商談で相手の話を傾聴してニーズを掴んだり、相手が抱える課題の解決策を提案したりします。こうした傾聴力や提案力は、店舗での接客販売に活用することで、顧客の気持ちを掴んで売上を高められます。
人事職
人事職は、人材配置や採用、福利厚生といった社内の人事制度に携わる職種です。その中では、採用人数や各部署の時間外労働時間といったノルマが設定されることもあります。
日々、売上というノルマに向き合い仕事をしてきた営業職であれば、過去の経験を活かして効率的に仕事を進められるはずです。また、人事職では入社希望者や労働組合といった各関係者と信頼関係を築く必要があるため、営業職で培ったコミュニケーションスキルを役立てられます。
ルートや反響営業・異業種の営業という選択肢も
営業職と一口に言っても、飛び込み営業やテレアポ営業といった受注率が低めのものから、ルート営業や反響営業といった比較的受注率が高いものまでさまざまです。ルート営業とは、既に取引をしている相手に対して定期的なヒアリングを行い、新たな提案を行う営業です。
一方、反響営業とはSNSや新聞といった各種メディアに広告を掲載し、問い合わせをしてきた人を顧客とみなす営業スタイルを意味します。これらの営業職であれば、精神的な負担やノルマといった不安は、飛び込み営業やテレアポ営業よりも少なくなる可能性があります。
そのため、営業職で「ストレスが大きい」「ノルマが辛い」と感じている人は、営業のスタイルが異なる業界や企業への転職の検討がおすすめです。
営業職からの転職を成功させるポイント
営業職は多彩なスキルや豊富な経験を有していることから、他職種への転職時に有利に選考を進められると期待できます。営業職からの転職を成功させるためには、転職先の労働条件をよく確認したり、面接で営業経験をアピールしたりといった取り組みが重要です。
ここでは営業職からの転職活動を行う際の注意点を見ていきます。
離職率が高い業界は避ける
厚生労働省が公表した「令和2年雇用動向調査結果の概況」によると、離職率が最も高い業種は26.9%で宿泊業・飲食サービス業でした。また、営業職のイメージが強い不動産業に関しては14.8%となっています。
一方で、製造業は9.4%、金融・保険業は7.7%と、前述の職種と比較して離職率が低い結果です。同調査においては、離職率の差についての理由など明確な根拠は示されていません。
しかし、不動産の営業は飛び込みや訪問営業が多いことに加えてノルマの厳しさが、高い離職率につながっていると想定されます。
営業職からの転職によって安定した労働環境を目指す場合、離職率が高い業界はなるべく避けるのが無難です。
参照:厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概況」
他職種への応募時も営業のキャリアをアピールする
企画職や販売職など未経験の職種へ応募する際には、これまでの営業のキャリアをアピールするのがおすすめです。営業職において行ってきた努力や工夫、あるいは乗り越えてきた課題といった点を伝えられれば、自分のスキルを存分にアピールできるはずです。
転職先の仕事への熱意に加えて、営業職で培ってきたスキルも採用の判断基準となり得ることを念頭におくようにしてください。
年収だけではなく福利厚生などの労働条件もチェックする
求人の中には、高年収や頑張り次第で年収アップといった謳い文句が掲げられているものもあります。しかし、実際に就職してみるとノルマや時間外労働、休日出勤が多く、労働環境が劣悪だったということも。
どれだけ年収が高い仕事でも、過重労働によって身体を壊しては元も子もありません。求人を探す際には年収に加えて福利厚生や時間外労働といった労働条件も満遍なくチェックするようにしてください。
営業職から転職する方はヒューレックスに相談しよう
営業職は厳しい印象もありますが、社会を生き抜くために必須のスキルを身につけられる仕事でもあります。転職時にも営業職の経験をアピールして、ステップアップにつなげたいものです。
しかし、営業職経験があっても未経験の業種や職種に飛び込むのは少々不安なもの。未経験であるがゆえに選考時には不利になる可能性もあります。
そのような方におすすめしたいのが、転職エージェントの利用です。ヒューレックスは、求人の紹介だけではなく面接や書類審査のアドバイスも行う転職エージェントです。ワークライフバランスを実現したい、年収アップしたいといったニーズに合わせて、多彩な求人情報を提供できます。
また、面接指導においては営業職の経験やスキルを存分にアピールするためのコツも伝授します。営業職からの転職を検討している方は、ぜひ一度ヒューレックスへお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修
神谷 貴宏
愛知県出身。大手証券会社、半導体商社の営業を経て、総合人材サービス会社へ入社。 仙台支店での勤務後、大型派遣案件の企画から運用に従事。その後、会社の中核を担う“正社員”のサポートに携わりたいという思いが強くなり、ヒューレックスの設立に参画する。 17年余りにわたるコンサルタントの経験の中で3,000名を超える方々をサポート。個々人の”キャリア”だけでなく”価値観”を大切にしている。
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