人事の転職が難しいのはどんな人?成功させる方法を解説

会社の顔である人事に転職したい方は多いでしょう。しかし、専門知識や経験が必要な人事に転職するためには転職活動のポイントを抑えなくてはいけません。
本記事では、人事未経験者や経験者が人事に転職するための方法について解説します。人事への転職を考えている方は参考にしてください。

人事未経験の転職は難しいが不可能ではない


人事は法的な知識や経験が必要な職種なので、未経験者が人事に転職するのは難しいと言えます。

人事は人を採用したり従業員の労働環境を整えたりするために、労働基準法や社会保険など法的な知識を頭に入れておかなくてはなりません。労働基準法遵守して従業員の労働環境や福利厚生を管理する必要だからです。

従業員からパワハラなどの相談があった際は、人事担当者が間に入って問題解決を図ることもあるため、パワハラやセクハラに関する知識も必要です。

とはいえ、未経験者の人事への転職が不可能というわけではありません。簡単ではありませんが、人事への転職を成功させるためには、法律に関する知識・経験をどのようにして補うかがポイントになります。

未経者が人事職に転職する方法

人事経験のない方が、人事に転職する方法を4つ紹介します。

  1. 採用担当者枠に応募する
  2. 第二新卒で応募する
  3. 調整能力やコミュニケーション能力を伝える
  4. IT業界や人材業界で未経験歓迎の求人を探す

1つずつ詳しく見ていきましょう。

採用担当者枠に応募する

1つ目は「採用担当者枠」に応募することです。採用担当者は求人数があまり多くないものの、人事未経験でも採用されやすい分野になります。採用部門はアウトソーシングで外注している企業もあるほどです。

採用担当者は、求職者の面接日調整から書類選考、面接などを担当します。自社の求めている人材像に求職者が当てはまるかどうかのチェックがメインの業務です。求める人材像を明確にして、部門別の採用人数を考えるのは人事企画と呼ばれる分野になります。人事企画は、人事企画担当者が考えてくれることも珍しくありません。

採用業務には人を見極めるスキルが欠かせません。

営業経験者は人を見る目が鍛えられているとみなされやすくなるため、人事未経験でも営業職の経験があると優遇されることもあります。

人事未経験者は採用担当として応募するのが1つの方法です。採用担当者は人事未経験でも採用される可能性が高いうえ、営業職経験があれば評価されやすくなります。

第二新卒で応募する

2つ目の方法は「第二新卒枠」に応募することです。企業は新卒で採用した人材を人事部に配属することがあります。

第二新卒とは、卒業後3年未満の求職者のことです。企業によって第二新卒の解釈は異なり、20代後半でも第二新卒とする企業もあります。

人事は企業の中枢を担い、未来も左右する職種です。「総合職として採用した新卒を人事に配置して自社でイチから育てたい」と考えている企業も少なくありません。

そのため人事未経験の場合、中途採用より第二新卒枠で応募したほうが素直さや物覚えの良さがアピールしやすくなります

人事未経験の20代は、第二新卒枠で応募することも検討しましょう。人事の経験がなくても、第二新卒が持つポテンシャルの高さは強みになります。

調整能力やコミュニケーション能力を伝える

3つ目は、「調整能力」と「コミュニケーション能力」を職務経歴書と面接で伝えることです。人事は調整能力とコミュニケーション能力が求められるからです。

例えば、研修を実施する場合に、役職者や外部コンサルタントの都合を確認して日程等の調整を行う必要があります。従業員のキャリア設計のために、各人のキャリアプランを把握して関係部署と調整を行うこともあります。

これらの調整を行うには、コミュニケーション能力も重要です。人事は社内の先輩や役職者に気後れしすぎず、積極的にコミュニケーションを取る姿勢が求められます。

人事はヒューマンスキルを重視して採用することも多い職種です。人事経験のない方は調整能力とコミュニケーション能力をアピールしましょう。

IT業界や人材業界で未経験歓迎の求人を探す

4つ目は、IT業界や人材業界で人事未経験歓迎の求人に応募することです。IT業界と人材業界は求人数が多く、未経験者を歓迎している企業も多い傾向にあります。

IT業界などで急激に成長している企業は各部署の人手が足りていません。中小のIT企業の場合は、人事業務だけに特化せず、あらゆる業務に従事できるオールアラウンダーのようなタイプを求めていることもあります。

そのため、人事経験がなくても「無形商材の法人営業経験」や「未経験から人事に就きたい明確な志望動機」があれば採用されることも多いです。

他にも、給与計算や入社手続きなどの人事労務関係をアウトソーシングで受注している会社も、未経験で採用されやすい傾向にあります。このような企業で人事経験を積んで、経験者として希望する業界を狙う方法もおすすめです。

人事未経験の方は、未経験歓迎求人の多い業界の求人を探しましょう。具体的にはIT業界と人材業界がおすすめです。

人事経験者であれば比較的転職しやすい

人事の実務経験があれば、未経験者より人事に転職しやすくなります。勤怠管理や福利厚生の手続き業務は企業や業界が異なっても、法律で定められている共通の前提条件があるため汎用性が高い経験だからです。

社会保険や労働保険は法律で定められているため、業界が変わっても法定福利厚生の手続きはそれほど大きく異なりません。そのため、これらの業務経験があれば、人事の実務経験者として転職しやすくなります。

人事経験者は汎用性の高いスキルを持っていることから転職が難しくありません。実務経験を強みにしましょう。

人事経験者の転職を成功させる方法

人事経験のある方がより良い転職を実現するための方法を4つピックアップしました。

  1. 採用目標人数達成などの実績をアピール
  2. 労務の経験があれば市場価値も上がる
  3. 人事配置や採用計画策定の経験があれば有利
  4. 社会保険労務士の資格があれば評価されやすい

人事の転職成功に欠かせないこれらの方法について詳しく解説します。

採用目標人数達成などの実績をアピール

人事経験者が転職する際は「採用目標人数を達成した」など実績を数字でアピールしましょう。人事にも成果が求められるからです。

管理部門や事務職は成果が測りにくい職種と言われていましたが、最近の転職市場においてはこれらの分野においても成果が求められる傾向にあります。人事職がアピールしやすい実績はこちらです。

  • 採用目標人数の達成率
  • 研修の日数や参加人数
  • 業務改善計画による労働時間の減少と生産性向上
  • 給与計算や保険手続きを行った従業員の人数
  • 人材育成による顧客満足度の上昇率

これらは数字で表しやすい実績です。採用担当者は求職者の担当した業務の規模やスキルがイメージしやすくなるので、できる限り数字で実績を伝えましょう。

労務の経験があれば市場価値も上がる

労務とは従業員が安心して働くための組織作りを行う業務です。労務関係の業務経験があれば、転職市場において価値が上がります。働き方改革を受けて、労務関係の業務ができる人材のニーズも高まっているからです。

働き方改革とは「残業時間の上限を月に45時間もしくは年間360時間」と定めたり「雇用形態に関わらず同一労働・同一賃金」と明文化したりしたものです。企業は働き方改革に向けた取り組みを行わなくてはいけないものの、実践できていないところも少なくありません。

そんな中、業務改善に取り組んだ実績や就業規則の作成を行った経験は評価につながります。労務担当者に求められるヒューマンスキルは、コツコツ真面目に仕事ができる勤勉さや法律の知識を得たいという高い学習意欲です。

人事経験があり、労務にも携わっていた方はこれらをアピールすると良いでしょう。

人員配置や採用計画策定の経験があれば有利

採用業務だけでなく人員配置や採用計画策定の経験があれば、優遇されやすいという傾向があります。人員配置や採用計画は人事の中でも上流の仕事に値します。

人員配置とは、自社の組織の人数を把握し、適した部署に適した人材を配置することです。適切な人員配置によって組織の生産性が上がり、企業として業績を伸ばしていくことができます。

採用計画策定は、事業戦略を把握したうえで行うものです。経営者や各部署の役職者にヒアリングを行い求める人材像のペルソナを定めます。加えて、財務状況や業務量から採用人数を決めなくてはいけません。

これらの業務経験があると「企業の経営を把握し組織構成を考えた」というマネジメントスキルがアピールできます。人事として高い評価が受けやすい業務のため、転職市場において有利です。

社会保険労務士の資格があれば評価されやすい

社会保険労務士の資格があれば評価されます。官庁に届ける書類を作成する知識があることが証明できるからです。

社会保険労務士とは、労働や社会保険の専門家です。社会保険労務士の資格があれば労働保険などに則って、行政機関へ提出する書類が正確に作成できます。労働関係のトラブル対応を行うことも可能です。

ただし社会保険労務士は資格取得難易度が高いため、すぐに取得できるものではありません。資格を取得してから転職しようと考えていると転職のタイミングを逃してしまいます。資格取得が自分にとって本当に必要かどうかを考えてから勉強することがおすすめです。

人事は法律に基づいて行う業務が多いため、社会保険労務士の資格があると評価されやすくなります。社会保険労務士の資格は人事の転職の必須条件ではないため、資格取得だけに注力してしまわないよう注意しましょう。

人事からのおすすめ転職先

人事経験者におすすめの転職先を3つ紹介します。

  1. 大企業の人事経験者なら規模が大きい企業の人事
  2. 事業内容に魅力を感じるベンチャー企業
  3. 他職種ならコンサルティングや企画職

人事経験者の転職先にふさわしい企業や職種を見ていきましょう。

大企業の人事経験者なら規模が大きい企業の人事

大企業で働いていた人事経験者は、同じく大企業の人事への転職がおすすめです。大企業の管理部門は業務が細分化されていることが多いため、今までの業務経験が活かしやすくなるからです。

ひと口で人事と言っても、新卒採用から研修、労務管理など幅広い業務があります。大企業の場合は、従業員の数が多いこともあり各部門に専任者を配属していることが多いです。大企業の人事は各部門の業務に精通しているプロフェッショナルと言えます。

ただし分野外の様々な業務を一任された経験は、中小企業の人事より少ないケースがほとんどです。そのため、あらゆる業務を任される中小企業より専門性を活かせる大企業のほうが相性のいい場合もあります。もちろん、オールアラウンダーとしてキャリアアップしたい方は中小企業の方がマッチします。

「専門性を極めたい」「大企業で働きたい」という大企業出身の人事の方は、同じく大企業への転職をおすすめします。

事業内容に魅力を感じるベンチャー企業

ベンチャー企業に転職する際は、事業内容に魅力を感じる企業を選ぶようにしましょう。ベンチャー企業は経営者との距離が近いうえ、様々な業務を担当させてもらえる可能性があるからです。

事業内容に魅力を感じている方が、他の業務を行う時にやりがいも感じやすくなります。またベンチャー企業は裁量権が大きいため、自身の判断が企業運営に影響しているという実感を得やすいです。

ベンチャー企業の事業内容は、求人情報や企業公式サイト、企業SNSなどで確認しましょう。転職エージェントに登録すると、転職コンサルタントが応募企業の事業内容から社風、経営者の人柄まで詳しく教えてくれます。

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他職種ならコンサルティングや企画職

人事と違う職種に転職したい方は、人事コンサルティングや企画職がおすすめです。人事コンサルタントや企画職は人事の経験が活かせる仕事だからです。

人事コンサルタントとは、企業経営における人事課題をあぶり出し、解決策を提案する仕事です。人事制度のコンサルティングを行う人事組織コンサルタントや採用活動をサポートする採用コンサルタントなどがあります。

企画職は、市場のニーズを汲んで新しいサービスを提案する仕事です。人事企画などの業務経験があれば、自社を俯瞰して必要な人材像を提案した経験などが活かせます。

人事は他の業界や職種でも活躍できるスキルを持っている方が多いです。「人事と違う仕事がしたい」と考えている方は、コンサルティングや企画職を候補に入れてみてはいかがでしょうか。

幅広い経験を通して人事の市場価値を高めよう

これまで人事の転職について紹介してきましたが人事未経験者が人事に転職するのは難しい傾向にあるものの、採用担当者枠や第二新卒枠を狙えば不可能ではありません。調整能力やコミュニケーション能力のある方なら評価されることも多いです。

人事経験者は転職しやすい状況と言えるでしょう。転職面接では目標を達成した実績を伝えるようにしましょう。大企業やベンチャー企業など、企業によって人事に求められる業務経験が異なるため、企業研究も大切です。

「企業研究をする時間がない」「募集要項を見てもどんな経験が求められるのか分からない」という方はヒューレックスにご相談ください。

ヒューレックスは、人事を募集している企業に赴き、欲しい人材像から実際に担当する業務内容まで調査しております。転職相談者の実務経験が活かせる理想的な企業の求人を紹介します。ぜひ一度お問い合わせください。簡単登録

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この記事の監修

須賀川 敏哉

神奈川県出身。早稲田大学卒業後、大手証券会社に入社。人材業界では、通算20年以上のキャリア。10年間の証券営業を通じ、経済や景気動向、企業動向の見方を養う。 大手総合人材サービス会社では、首都圏拠点立ち上げ、新宿・丸の内支店長、金融・外資部長、東京本社エリアディレクターを歴任。 ヒューレックスでは、転職支援を中心に、コンサルタントとして幅広い職種と年齢層に対応。

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