測量士の平均年収と給料アップの方法は?失敗しない転職先の選び方も紹介!

「測量士」はその名の通り、地形の測量業務を専門とする国家資格です。基本的に現場に赴くことも多い職業ですが、平均年収は日本人全体の平均年収と同程度あり、悪い条件ではありません。
さらに、向上心のある方であれば、800万円以上の高年収も実現可能です。
この記事では測量士の概要や業務内容、平均年収や転職のポイントまで網羅的に紹介していきますので、どうぞご覧ください。

測量士の年収と業務内容

まずは、測量士の概要や業務内容、年収について紹介していきます。

測量士とは

測量士とは土地の形や距離、広さを測り、その後に行われる土木・建築工事などに使用する基礎データをまとめる仕事です。「測量士」と下位資格である「測量士補」の2種類存在し、国土交通省国土地理院が管轄する国家資格に定められています。

測量士の業務内容

測量士の業務内容は、測量の依頼元によって3種類に分類されます。

・国土地理院が行う【基本測量】
基本測量は、国土地理院が実施するすべての基礎となる測量です。後述する、公共測量や民間測量も基本測量によって得られた情報をもとにして実施されます。

・国・地方公共団体などが行う【公共測量】
公共測量は、道路の建設や河川の改修などの公共事業に関する測量です。公共測量によって得られたデータは「公共測量成果」と呼ばれ、基本測量と同じく後の公共事業や公共測量の基準など様々な用途で活用されます。基本測量には、道路や鉄道などの線形を表すためや形状を調査するための「路線測量」のほか、土地の起伏や建物などの位置や形状を調査する「地形測量」、土地の標高を測る「基準点測量」、「水準測量」が該当します。

・民間が行う【民間測量】
基本測量および公共測量以外の測量は「民間測量」や「一般的な測量」などと呼ばれます。依頼元は建設会社をはじめとする民間企業や土地を売りたい個人などが挙げられます。建築工事の全般をプロデュースする「建設コンサルタント」や土地の取得や建物の移転に伴う補償業務全般を行う「補償コンサルタント」などが主な業務となります。

測量士が実際に担当する案件では、基本測量と公共測量が多くを占めています。

そのため、公共事業に関係する多くの仕事と同様、年度後半が忙しくなる傾向があり、繁忙期には休日出勤や残業が多くなるのが特徴です。

測量士の年収とボリュームゾーン

政府の統計データによると、2019年における測量士の平均年収は441.3万円でした。国税庁が発表している民間給与実態統計調査によると、2019年度の日本人の平均年収が436万円なので、測量士の年収はおおよそ平均的と言えるでしょう。

一方で、統計データによると測量士の平均年齢は40歳以上、勤続年数が8~15年程度と高齢の傾向にあります。そのため、ボリュームゾーンで考えると、測量士の年収は300万~400万円程度と推測されます。

測量士の資格を取得するにも数年の実務経験が求められるため、測量士の平均年収を稼ぐにはある程度の年数が必要となるでしょう。
測量士の平均年収と日本人平均年収の比較

※参考:e-stat「2019年賃金構造基本統計表
※参考:国税庁「民間給与実態統計調査

 

測量士の資格を取得する方法

測量士の資格を取得するには以下の4つの方法が挙げられます。

  1. 国が指定した大学や短期大学、高等専門学校において測量に関する科目を修了し、卒業した後に実務経験(大学は1年以上、短大・高等専門学校は3年以上)を積む
  2. 国が指定した測量に関する専門の養成施設において、1年以上測量士補となるのに必要な知識と技能を習得した後、測量に関する実務経験を2年以上積む
  3. 測量士補で、国が指定した測量に関する専門の養成施設において、高度な知識と技能を修得する
  4. 国土地理院が行う測量士試験に合格する

測量士に関する教育機関を卒業した人は、実務経験を積むことで測量士の資格を取得することが可能です。一方、これから測量士になろうと考えている人も、測量士試験に合格することで資格を取得することができます。

測量士試験には特別な受験資格というのはないため、誰でも受験できるのが特徴です。

※出典:公益社団法人日本測量協会「測量士・測量士補の資格のページ

測量士試験の合格率

測量士試験の合格率についても紹介していきます。国土交通省では各年度ごとに、測量士試験の受験者数と合格者数、合格率を発表しています。
測量士試験過去10年の合格率

※参考:国土交通省「測量士・測量士補の合格者を発表(各年度)

過去10年間(2012~2021)の合格率を見てみると、平均合格率は11%程度と非常に難関な試験であることが分かります。難易度が高かった年(2013年)に注目すると、合格率も5%程度まで落ち込んでいます。

測量士を目指して測量士試験に臨む方は、かなりの準備が求められるでしょう。

測量士補の年収と業務内容

続いて測量士の下位資格に当たる測量士補の年収と業務内容について見ていきましょう。

測量士補とは

測量士補とは、測量士の作成した計画や指示に沿って測量を行う仕事です。測量士が計画も測量も行うのに対して、測量士補は指示に従って測量を行うのが特徴です。

※出典:公益社団法人日本測量協会「測量士・測量士補の資格のページ

測量士補の年収とボリュームゾーン

測量士補の年収について、政府が発表する公的なデータが見つからなかったため、転職情報をもとに平均年収とボリュームゾーンを紹介していきます。転職情報や実際の求人を見てみると、測量士補の平均年収は約300万円程度でした。

測量士補は数年の実務経験を積むと測量士の資格を取得できるようになるため、年齢層や勤続年数による年収の差は小さく、ボリュームゾーンも平均年収とほとんど変わらないと考えられます。

2019年度の測量士の平均年収は441.3万円、日本人の平均年収は436万円であるため、測量士補の平均年収約300万円と比較すると100万円以上の差があります。測量士補のままでは年収の面から見ても将来的なステップアップは考えられません。そのため、測量士補は測量士への足掛かり的な職業として考えておくと良いでしょう。

 

未経験から測量士補になれる?

測量士補の資格を取得するには以下の3種類の方法が挙げられます。

  1. 国の指定した大学や短期大学、高等専門学校にて、測量に関する科目を修めた後に卒業する
  2. 国の指定した専門の養成施設にて1年以上測量士補となるのに必要な知識や技能を修得する
  3. 国土地理院が行う測量士補試験に合格する

1、2のように国が指定した教育機関を卒業した場合は、登録申請書を提出するだけで測量士補の資格を取得することが可能です。一方で、まったくの未経験から測量士補資格の取得を考えているならば、測量士と同様、国土地理院が行う測量士補試験に合格する必要があります。

この試験も難しい受験資格はないため、誰でも測量士補を目指すことができます。

測量士補試験の合格率

では測量士補試験の合格率についても見ていきましょう。国土交通省では測量士試験と同じく、各年度における測量士補試験の受験者や合格者、合格率を公表しています。
測量士補試験過去10年の合格率

公表されているデータによると、過去10年間の平均合格率は34.7%でした。測量士の平均合格率が11%であることと比較しても、比較的合格率が高いと言えるでしょう。

また、受験者数も例年1万人以上を越えており、挑戦者の多い資格です。

※参考:国土交通省「測量士・測量士補の合格者を発表(各年度)

測量士と測量士補のキャリアアップ方法

測量士は年齢層や勤続年数によって年収に大きく差があります。そのため、平均年収を参考に就職したとしても、実際の給与額との差にギャップを感じるかもしれません。以下では測量士と測量士補のキャリアアップ方法を紹介していきます。

現職で役職や立場を上げる

もっとも簡単なキャリアップ方法としては、実務経験を通して知識や実技能力を伸ばし、役職や立場を上げることです。主任や係長など各営業所での役職を上げることで、会社からの給与額も上昇していくでしょう。

そのために重要なるのは、しっかりと実務をこなし、周りと円滑にコミュニケーションをとり業務を回すことにより、上司からの信頼や実績を積み重ねていくことです。まだ測量士補の資格しか保有していない方は、まず測量士の資格の取得を目指しましょう。

測量の仕事に従事しながらキャリアアップを志すならば、測量士の資格を保有することが大前提になってくるでしょう。測量士は合格率から見ても非常に困難な資格ですので、コツコツと日々の勉強を心がけることで合格に近づけるはずです。

独立を目指す

測量士として年収800万以上の高収入を目指すのであれば、独立を目指すのも一つの方法です。企業勤めでは自分が引き受ける案件の種類や量を調整することは難しいため、拘束時間も長く、自分の時間を確保するのが困難な傾向にあります。

独立をして事業を安定させることができれば、自分のワークライフバランスを整えながら、高収入を実現させることも不可能ではありません。独立を目指すならば実務経験を通して、測量機器の扱い方や測量図面の作成方法など、一連の業務が一人でこなせるようになるのは最低条件です。

その後、案件を回してくれる複数の顧客と信頼関係を結ぶことができれば、独立することができるでしょう。

転職する

より年収の高い企業に転職することもキャリアアップの方法として挙げられます。測量士や測量士補の知識や経験を活かせる現場は様々ですので、仕事の幅を広げたいと考えている方は、測量士だけでなく別の業界も視野に入れると良いでしょう。

・測量事務所や測量会社
測量士や測量士補の資格をそのまま活かすのならば測量事務所や測量会社でしょう。業務のほとんどが測量作業と測量図の作成で占められており、最も測量士らしい就職先と言えます。

・建設コンサルタント会社や土木・建設会社など建設業界に属する企業
建設業界であれば、測量士や測量士補の知識と経験を別の方法で用いることが可能です。こうした企業では実際の現場で測量を行うことは少なく、測量計画や工事計画の分析、土木工事の監督が主な業務となります。

このように同じ資格を保有していても就職できる企業は様々です。そのため転職する際は、改めて自分が従事したいと思える業務は何なのかを考え、自分の知識や経験が最大限発揮できる企業を選ぶと良いでしょう。

 

測量士と測量士補の転職先の選び方

最後に測量士と測量士補の転職先の選び方についても紹介していきます。

業務領域を変える

測量を行う会社で転職を希望する場合は、転職先の企業が「公共測量」と「民間測量」どちらの案件を中心に受注しているのかを把握しておきましょう。測量は国や地方自治体によって実施されるため、ダムやトンネル建設などの大規模な公共事業の測量に携わることができます。

一方で、繁忙期は休日出勤や残業を余儀なくされる日もあるかもしれません。民間測量の場合、期日までに余裕をもってあたれば、特別な繁忙期は少ない傾向にあります。

しかし、大規模な公共事業とは関わることができないため、測量士としての知識や経験を求めている方には物足りない部分もあるでしょう。自分はどちらを希望するのか、転職先はどちらの案件を多く受注しているのかを明確に把握することで、転職した後の満足度も大いに上がるはずです。

AIやドローンなど最新技術を学べる環境を選ぶ

そもそも、測量士はAIやドローンなどの科学技術の発展によって「10年後に無くなる職業」と言われています。測量の業務では現地に赴き、基準点の設置、距離・角度を求めて測量、図面を作成するといったアナログな作業が多くを占めます。

複雑な地形や手入れがされていない土地の測量になると、2~3日の時間を要することもあります。一方、ドローンのデータ解析を用いて測量を行うと、複雑な地形であっても時間をかけず、正確に、広範囲の図面を作成可能です。

測量士としての知識はまだまだ必要

とはいえ、法律や書類の作成、利活用など、測量士としての知識や経験が求められる場面はまだまだ存在します。そのため、AIやドローンを「仕事を奪う脅威」としてとらえるのではなく、「業務を効率化する技術」として利用する側に回ることが重要です。

実際に最新技術を学ぶならば、既に最新機器を導入している企業に転職することも考えてみましょう。雑誌やニュースで技術情報を得ることも重要ですが、現場で扱ってみることで、より最新機器に対する理解も深まるはずです。

測量士として専門的な知識だけでなく、最新の精密機器や情報までも網羅することで、専門家の中の専門家を目指せます。これにより時代の流れに残されず、周囲からも重宝される優秀な人材になれるでしょう。

福利厚生・給与・会社の安定性で選ぶ

転職で失敗しないためには「自分が会社に何を求めているのか」を明確にすると良いでしょう。例えば、自分の生活に沿った福利厚生を利用できれば、給与面を妥協しても手元に残る金額を増やすことが可能です。給与面を重視するならば、多少の業務時間や業務内容には目をつむって、会社に貢献するよう努力できるでしょう。

近年は大手企業であっても倒産やリストラの危険が増してきているため、会社の安定性で選ぶのも間違っていません。

ただし、安定した会社というのは会社の規模が大きいということだけでなく、地域に密着している、他の企業にはない特徴があるなどの利点が挙げられるため、しっかりと見定めることが重要です。

このように、自分の希望を明確にすることで、転職先の候補が自然と見えてくるでしょう。また、その会社でなくてはならない理由を具体的に見つけることは、面接にて好印象を与えることにもつながります。

働く場所を変える

居住する場所に対してこだわりがなければ、地方への転職も候補に入れてみましょう。

内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部が運用している地域経済分析システムRESASによると、青森(6.33倍)、大分(7.04倍)、島根(8.64倍)など地方に分類される都道府県は、東京(5.42倍)や全国平均(5.40倍)よりも有効求人倍率(※)が高い傾向にあります。

(参考:https://resas.go.jp/#/13/13101
(山形、青森、大分は都道府県都会度ランキングにおいて24位以下よりランダムに選出)

(※有効求人倍率とは:有効求人数(求人募集の数)を有効求職者数(職を探している人の数)で割ることで算出される。倍率が1を上回った場合、求職者の数よりも求人募集をしている企業の数の方が多く、下回った場合、求職者数の方が多いことを意味する。

例:(有効求人数)200÷(有効求職者数)100人=2倍(有効求人倍率)

この場合、求職者の数よりも求人募集の方が2倍多いことを示していることからも分かる通り、測量士という職業では地方の方が求人数が多いと言えます。働く場所の選択肢を増やせば、地域独自の多様な公共事業に携われる可能性も上がるでしょう。

また、地方であれば都市部に比べて物価や家賃が安価で済む場合が多く、給与面を妥協したとしても、最終的に手元に残る金額を増やせる事例があります。

あらかじめ自分の生活費や年収を計算し、現状の会社よりも手取り額を増やせるようであれば、ぜひ地方の企業への転職も考えてみてください。

 

測量士は難易度の高い国家資格!

測量士の平均年収は441.3万円であり、これは日本人の平均年収に相当します。また、キャリアップをすることで、これ以上の年収増加も望めるでしょう。キャリアアップの方法の一つに転職する方法もあります。測量士の就職できる企業は様々です。

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この記事の監修

松橋 拓弥

宮城県出身。大学卒業後、東日本大震災をきっかけに大手建設会社で施工管理と営業業務に6年従事。その後その経験を活かし、大手人材紹介会社の建設領域でキャリアコンサルタントとして常にトップクラスの実績をおさめる。転職においては「キャリア」だけでなく個々人の「夢」と「想い」の実現のお手伝いが大切であると考え、求職者第一に転職支援に取り組む。

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